宵闇を彷徨う

夏の夜。蒸し暑く寝苦しい夜。

冷房をかけていても、素直に眠れない暑い夜。

そんな夜は決まって、つい夜道を彷徨ってしまうんだよな。

なぜ、夜道を彷徨うのかは自分でもよくわかってない。 なんでなんだろうね。

決まって、そんな夜は面白いものに出会えることが多い。

とあるアニメでは「島根にパソコンなんてあるわけない」と言われ、お気に入りの新刊漫画が店頭に並ぶまで一週間かかる我が郷土。

そんな島根で、日付が変わって僅か一時間足らずで少年マガジンや少年サンデーがコンビニの店頭に並んでいたりする。

こういう時に限って、そんな場面によく出会えるんだよなぁ。

そういう珍しいことに出会えるから、眠れないのか。 たまたま眠れなかったから、そういう珍しいことに出会えてるのか。

果たして、どっちなんだろうね?

でも、個人的に眠れない夜に街を彷徨うのは好きだよ?

だってね、静謐とした雰囲気の街を一人占めにしながら練り歩けるんだよ? その時だけは、自分一人だけの街並みになる。

昼間は多くの人が行き交う街並みが、夜になれば自分一人きりの世界になる。 そして、昼間の生活風景を夢想しながら街を彷徨うのさ。

堪らない一時だよ?

おまけに、そういう時は創作意欲も刺激されるもんでね。 面白そうな話のネタやアイディアに行き着くことも多いんだ。

たぶん、昼間より周りを気にせず考え事をしながら歩きやすいからなんだろうけどさ。 それに、昼と夜の街並みを見比べることで、「ああ、ここでも人は生活しているんだなぁ」という感慨にも浸れるし。

そういう意味では寝苦しい夏の夜も捨てがたいのかもね?

あと、散歩して帰ってくるといい塩梅に疲れるんだろうね。 だいたい翌日の目覚めはすっきりしてる。

暑苦しい夏の夜だからこそ、静かな夜の街を楽しめる。 たぶん、これが僕の夏の夜の楽しみなんだろうね。