映画の色

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【注意書き】
本エッセイには、以下の映画のネタバレが載っています。
それを覚悟のうえで読んでもいいという方だけ、本エッセイを読んでいただければと思います。


・「ガメラ2 レギオン襲来」
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色―――

僕にとっての色と言えば、

見事な色合いのカクテルや琥珀色のウイスキー
何時も来ている黒のスーツに白のワイシャツ。
茶色の葉に巻かれたシガー。

そういうものを連想する。


恐らく、これを読んでいる人もそう思うだろうね。

でも、僕にとっての色の記憶。
それは常に映画と共にあったのではないかと思う。

様々な色を魅せてくれる映画。
僕は、そんな映画にのめり込んでいたのだろう。

今日は、そんな映画の色を書き連ねていこうと思う。
中でも映画好きになる原因となった映画について書くつもりだ。


生まれて初めて見た映画は、「ガメラ2 レギオン襲来」
子供時代に見るべき映画とは言えなかった。
おまけに地下鉄駅構内での事故のシーンなど恐ろしいシーンが多くてね。
怖がりながら一人で見ていたのをよく覚えている。


この映画では、赤と緑の色が僕の脳裏に深く刻み込まれている。


札幌、すすきの駅に出現した謎の巨大植物。
草体と呼称される、その植物は種子を射出することで繁殖をする存在だった。
そして、射出の余波で札幌市は焦土と化すことが分かる。

種子射出を阻止できない自衛隊
そこへ一筋の希望が差し込める。

ガメラだ。

ガメラが札幌市に現れ、射出寸前の種子を火球で破壊したんだ。
しかし、破壊された草体から小型の怪獣群が姿を現す。

さしものガメラも大群に襲われてはひとたまりもない。

その光景を見ていた自衛官がぼそりと呟いた。

「我が名はレギオン。我々は、大勢であるが故に」

ガメラを打倒したレギオンたちは、一転し変電所へと群れを移動させる。
その隙をつき、ガメラは逃げるように飛び去って行く。

その時に、ビルに緑色の液体が付着する。
それは、ガメラの血液だった。


このガメラの血液が緑色だとわかるシーンは印象的でね。
カメラが飛び去る様を見に行く登場人物たちにピントが合わさった後、緑の血液が窓を滴っていく。
子供時代、初めてみたときは恐ろしかった。

 

赤は、大規模な爆発の色だね。

仙台市に出現した草体を破壊しようと奮戦するガメラ
そして、それを阻止するマザーレギオン。

ガメラはマザーレギオンを倒し、草体を破壊したい。
しかし、避難に遅れた人たちを守りつつ戦う為にガメラは思うように戦えない。

避難民を乗せたヘリが飛び立つまで、ガメラはひたすらマザーレギオンの動きを抑え続ける。

ようやく飛び立ったヘリを見送るガメラ
しかし、次の瞬間マザーレギオンの攻撃により、地に伏してしまう。

ガメラが活動停止したと判断したマザーレギオンは地中深くに姿を消す。
マザーレギオンが去った後、ガメラも目を覚ます。

しかし、既に遅かった。
種子は発射体制に入っており、ガメラですらどうにもできない状態だった。

だが、ガメラはボロボロの体にもかかわらず、前へ前へと歩を進める。

ようやく種子の前に到着したガメラ
傷ついた体を奮い立たせ、草体を破壊しようとする。


が―――

その時が来てしまった。

ガメラは種子射出の余波をまともに受け、死亡してしまう……。
そして、仙台市は赤い炎に包まれる。

このシーンでの赤い炎はなんとも虚しい。
傷つきながらも、草体を横倒しにするガメラの行動は何だったのか……。
そして、マザーレギオンに対抗できる存在はもういない……。

そんな虚無感に包まれてしまう。


他にも書き綴っていきたいシーンはあるのだけれど、
あまり字数が多くなってしまうのもよろしくない。

それにこのまま語り続けると映画の全部を語り通してしまう。

だから、ここまでだ。

恐らく、この映画に出会っていなかったら
映画好きの僕は生まれてこなかっただろう。

この映画のおかげで、僕は映画を知れた。
今後も僕の色の記憶は、映画と共にあり続けるのだろう。